もう二度と会えなくてもいいから生きてて欲しかった
この日を恐れてました
土曜日の夕方、お風呂に入ってる時に電話が鳴った
電話の主を見た時
もう内容は想像できた
出るのが怖かった
力が抜けていく、何度目かのコールで電話に出た
ふらっとエスカに来られたその方
面識はあったけどほとんどお話しした事はなかった
まさかのスヌーピー好きなとこや
色んな好きなものがかぶってその日めちゃくちゃ話しが盛り上がった
そこからちょこちょこお店に遊びに来てくれるようになった
日曜日、いつもさみしくごはん食べてたあたしをお互い独身で1人ごはんということで、色んなお店に連れて行ってくれた
自分じゃ到底行けないようなお店にたくさん連れて行ってくれた
あたしの友達やスタッフもたくさん連れて行ってくれた
仲良くなって1年半くらいやった
その短い期間でたくさんお話しし
たくさん一緒に飲んだ
仏のような人やった
いつも笑顔でいつも信じられないくらい優しかった
健康診断を受けた時、ポリープが見つかったと聞いた
「ちょちょっとポリープ取ってくるね」
入院した時、お見舞いに行きたかったけど躊躇した
自分が入院してる時、弱ってる姿を人に見られたくないと思ってたから
実際そんな長い入院ではなく、退院してそのあとは自宅療養だった
たまたまあたしが病院日だった時「今来てるよー」ってメールしたらその時は一時退院してた
が、また入院した。と
1度だけお見舞いに行った
1人だったらご家族がいらっしゃった時に…と思い、いつもその方が使っててかわいがってたタクシーの運転手さんと一緒に行った
痩せてたけどいつもの優しい笑顔のままだった
長居したら疲れると思い、10分くらいで失礼した
結局それがあたしが見た最後の姿だった
LINEをしても既読はついていた
ある時から既読がつかなくなった
心配でその方が家族のようにかわいがってる方に勇気を出して電話した
終活に入ってると聞いた
会いに行ってもいいですか?と聞くと
本人の意向で親族とそのかわいがってるその方だけしか会えないと
誰が来ても会えないと聞いた
「じゃああたしが次会えるのは亡くなった時なんですか?」と泣きながら言った
その方に言っても困らせるだけなのに
その日もあたしは仕事にならなかった
様子がおかしかったらスタッフに迷惑かけるから「今日あたしツライことがあって仕事にならんかも、ごめん」と言った
お店が暇できつい時、いつも助けてくれた
熊本や鹿児島にいても「今日はどう?」ってメールがあって「暇です」と言うと新幹線で帰って来てくれて次の日朝イチで戻って行ってた。現地にホテル取ってるのに…
長崎にいても車で帰って来てくれたりしてた
「来るね」なんて一言も言わずメールの後登場するので、いつもびっくりさせられた
エスカペイドをすごく応援してくれてた
いつも「ここはほんとに良いお店だよー」って言ってみんなを喜ばせてくれてた
土曜日店のドアのピンポーンが鳴った
泰三と2人で入口を見た。誰もいなかった
「今誰か入って来たかと思ったね」と話してた
その続きがあって泰三には言わなかったけど、となりに人が座った感触があった。ふわっと風が来た
その方が来たんだと思った
泰三に「ワインちょうだい!」ってその方が好きだった赤ワインを注いでもらい、あたしのとなりに置いた
プロとしてはダメなんやけど結局土曜日はぼーっとしててあまり笑えなかった
その日の営業が終わり泰三に亡くなったことを告げた
泰三も泣いていた
帰ってからも泣きまくった
悲しくて悲しくて胸が苦しい
こんなあっけなくお別れが来るなんて思わなかった
またポリープ取ったら一緒に飲めると思ってた
どうか安らかにお眠りください
ありがとうございました
出会えてうれしかったです
楽しい時間をたくさん過ごせました
ほんとにありがとうございました
こういう事を書いていいのかと思いましたが、あたしの中の思い出を残したくて書きました。